ドンキーコング

友人から「ゲームウォッチ」のドンキーコングをプレゼントに頂いた。実際にプレイできる。見たことがない人もいるかもしれないが、これが最初のDSだ。

小学生の僕は、実際に、これを持っていた。あの頃は Dual Screen じゃなくて、マルチスクリーンと、任天堂は言っていた。

ゲームウォッチは、故・横井軍平さんが、新幹線に乗っているとき、電卓の数字を押して、暇つぶししている会社員の姿を見て思いついたとも言われ、実際に電卓と同じ7セグメントのオン・オフと同じ仕組で作られている。

大人になった今だからこそ、その様々な工夫に感動する。特に音については、言葉を失うくらいすごいと思った。

実は、僕は、「スーパーマリオ」の効果音の中で、もっとも素晴らしいと思うのは、各面の最後でポールをつかんだ後、得点が入るときの心地良い「ピルルルルル・・・」という音だ。あれは、プレイヤーを元気にする。

そして、スーパーマリオが誕生するずっと前、ゲームウォッチには、すでにその効果音が実装されていた。ドンキーコングも得点のときに「ピルルルルル…」となる。

それどころか、単発の電子音でしか表現できないこの端末で、すべての効果音を、単音の高さとリズムで区別し表現している。「ジャンプ」「タルが転がる」「やられる」「主人公が落ちる」「移動する」「クレーンにつかまる」… すべて違う高さの音だ。

それは、他の人がプレイしているとき、その画面を見なくても、音を聞くだけで、どの狀態なのか、情景が目に浮かぶということだ。
そして、これは、目をつぶっても、プレイができることにもつながる。
実際に、少年時代の僕らは目をつぶって、プレイして競っていた。

ゲーム自体の構成も、宮本茂さんのアイディアがたくさん詰まっている。ひと目見て「目的(=コングを倒し、美女を助ける)」が分かること、クリアしたときのラブストーリーの存在、コングの豊かな表情など、スマホのアプリ開発でも、お手本になる要素がたくさんだ。

思えば、小学生の頃、5mm方眼ノート1000ページに渡って、ゲームの企画を書いていたけど、あの頃の僕にはラブストーリーがなかった。

今なら、僕も壮大なゲームを描けるのではないか。実は密かにそう思っている。

ラブストーリーも十分に経験した。もちろん、そのほとんどは、一方通行だったかもしれないけれど、

“恋は下心、愛は真心”

そう誰かが言っていたように、いくら IT が発達して、スマホでスタンプ送っても、愛と恋の違いなんて、漢字一文字程度。

素晴らしい友人と、ドンキーコング開発者の皆様に感謝しながら、明日の資料を作ろうと思う。