AERA

写真は10年ほど前、僕が AERA に掲載されたときのもの。

ある日、朝日新聞社から連絡があって、僕を撮影したいとのことだった。数日後の朝、オフィスに黒いハイヤーがやってきた。あの道が狭い原宿キャットストリートに、大きいのがやってきて、驚いた。

「黒い服を用意するように」というカメラマンの指示を、僕がすっかり忘れてて、運転手さんに表参道の交差点にハイヤーをとめてもらい、GAP でセーターを買った。

そして、そのまま、朝日新聞本社地下のスタジオへ、ハイヤーは向かっていった。

スタジオ横の控え室で、サンドイッチを頂きながら、桑田圭介さんのスタイリストと名乗る方に、髪を整えてもらい、メイクをしてもらった。それから、有名なカメラマンに、赤い背景の前につれていかれ、撮影が始まった。

“いいねー。いいねー!” 

パシャパシャと、されているうちに、気持ちよくなっていった。

こうやって、グラビアアイドルは丸裸にされていくんだ。僕は体で理解した。

撮影というのは、被写体と撮影者のコミュニケーションだ。ストロボの光が、被写体の心を高いところへと持ち上げていく。。。

そういえば、僕も高校のときは、”福山みたい” と下級生の女の子に言われたことある(実話)。自信を持っていこう。

こうして、僕は、最高の気分で人生最初の AERA の撮影をバッチリと終えた後、
礼儀正しく、皆さんにご挨拶をした。また、声がかかる人というのは、現場で礼儀正しい人だ。

僕は、ふたたび数ヵ月後に声がかかる自分を想像した。”今度は、ヒルズで服を買っていこう!” そんな気分だった。

最後に、カメラマンさんにご挨拶した。彼に気に入られたら勝ち組だ。彼はにこやかに、ひと言おっしゃった。

”君は影がすばらしかったよ”

。。。

僕は帰りのハイヤーで、髪をくしゃくしゃにして思った。

男は顔じゃない。「影」だ。

数週間後、僕の「影」の写真とともに AERAが発売された。確かに「影」の方が「本体」よりも大きな面積確保されている。

あれから 10年、僕の「本体」に声がかかることは、一度もなかった。

 

博士号

この秋の学生向け講演の依頼を頂いた。スライド用に、自分の学生時代の写真を探したら、これが出て来た。

ずっと、この写真を見てなかった。9年が過ぎて、初めてマジマジ見てみた。

これは、2003年、博士号を取得したときのものだ。僕は「9月」卒業だった。

博士号には、学会と論文発表が必要で、僕は、あっという間にこなして、3月より前に卒業するつもりでいた。

“誰よりも早く卒業してしまおう”

そんな、うぬぼれた僕を、世界は許してくれなかった。

あの日、僕は完成した博士論文を、大学事務所に持って行き、楽しみにしていた卒業式の日時と場所を確認してもらおうとしていた。

論文を受け取った女性は、僕の名前を確認して、険しい顔をして、僕にこう伝えた。

“残念ですが、3月の卒業式には出られません”

僕は驚いた。何が起きたか分からなかった。

“卒業式用のマントと帽子の採寸がこのタイミングでは難しいため、卒業式は次回になります。”

あと1週間早ければ間に合った、とも彼女は付け加えた。

僕は意味が分からなかった。マントと帽子の合うサイズがないという理由で卒業できないなんて、聞いた事なかった

”どんなサイズでもいいです。電話で何とかなるでしょう?”

しかし、ついに僕の名前が卒業者リストに載る事はなかった。

そして、「卒業式」ではなく、「次回の帽子とマントの採寸」の日程と場所を教えてもらって、その場を立ち去ることになった。

こうして僕は、マントと帽子が理由で卒業できない人となった。

数週間後、友たちが笑顔で卒業する姿を見送った。恥ずかしさで、僕の心は笑顔になれなかった。

そして9月になり、誰も卒業生に知り合いがいない中、卒業式を迎えた。帽子を1人で「イエーイ!」と言いながら投げた。

後輩に伝えたい。あれは、みんなで投げるから楽しい。

今となっては、すべて、いい思い出だ。

僕は、9年ぶりに自分の姿を見て、いい顔してるし、努力したから、いいかなと思い直すことができた。人間は成長する。

そして、先日、友人にも、この写真を見せてみた。

それを見てすぐに、彼は、とてもいいことに気がついた。

彼は、無邪気な笑顔で、こう言ってくれた。

“この帽子、サイズ合ってないねw”

。。。

後輩へ。論文提出など通過点です。
「マント」と「帽子」。これら本当のゴールを目指して、がんばってほしい。

人類にとって価値あるものに変えること

人類にとって、価値が高くないとされてきたものを「資源」に変えていくことは大事だ。

100年前の世界では、それほどは役立たなかった青カビから、その後、ペニシリンが発見され、人類は、初めてインフルエンザやペストなどの「感染症」に対抗する手段を得た。人類は青カビを、無数の命を救える「資源」に変えた。

20 年前の世界では、置いておくとコストでしかなかった「検索システム」も、その後、Google は見事な発想の転換で、それをウェブページに設置しておくだけで、多くの人が収益を得られる「資源」に変えた。

僕らも事業を通して、人類の資源に変わるものを探している。例えば「悔しさ」もその候補の1つだと考えている。

。。。

なぜ、自分は、やる気が出ないんだろう?

なぜ、自分は、認めてもらえないんだろう?

なぜ、自分の病気は治らないんだろう?

なぜ、「パソコンのメール設定が分からないから家に来て」って言うから設定して、そのまま帰ったら、半年後に「あのとき、私の心をさらって欲しかった」と言われるんだろう?

なぜ、「エクセルの使い方が分からないから家に来て」って言うから、行って使い方を伝えて、心をさらおうとしたら突き飛ばされて、数日後から連絡がつかなくなるんだろう?

。。。

「悔しい」という気持ちは、人を成長させる。そんな力の塊だ。

今朝、前を歩く会社員の男女が、手をつないで出社している姿を見ながら、僕は、悔しさが人類の資源に変わる、大きな可能性を感じた。

RISING EXPO

Rising Expo 2014(写真はサイバーエージェント・ベンチャーズさん公式より引用).

今まで参加した大きなイベントの中でも、一番良かったです。多くのことを得て、素晴らしい方々と出会えました!

主催のCyber Agent Ventures の皆様、スタッフの方々をはじめ、スポンサーの方々、参加者の皆様、お話して頂いた方々に、心から感謝!デモに快くご協力頂いた大塚さん、ありがとうございました!!

推薦者のKLab Venturesさん、KLabさんの方々、弊社の社員にも、本当に感謝です!準備から当日まで、何十回もブラッシュアップして、プレゼンを作って来ました。

そして、トーマツさんには、最後に賞まで頂いて、本当にありがとうございました!この賞は、瞬間日記ユーザの皆さんの御蔭だと思ってます。

皆様、本当にありがとうございました!

。。。

プレゼンについて、複数の方に質問を受けました。あれは、シリコンバレーでVCやエンジェル投資家にプレゼンするときの基本形をベースにしてます。Problemというページに始まり、Why invest? で終わる10ページ, 10分のものです。

1. Problem
2. Solution
3. Market opportunity
4. Product
5. Competitive summary
6. Customer
7. Business model
8. Management team
9. Financial projection
10. Why invest?

これをベースに、200人を超える投資関係者の方々の前に出るため、アレンジしました。

冒頭のスライドで出した、ビキニのスペイン女性と僕の水着ツーショット写真については、忘れてください。

銀座のママ

まさかの銀座のトップママさんからのシャンパン。

プライベートで隣で飲むことに。

一品の完璧さ

“肉が好きでない人でも食べたいと思えるものを出したいと思ってます”

そうおっしゃる、市ヶ谷の名店「なかはら」さんの肉の切り方と焼き方を、じっと観察していると自分自身の仕事や生き様にも通じる様々なことを学べる。

目の前で、見事に切られていく肉を見ながら、「これから、その美味しそうな部位を頂ける!」と期待していると、それらはすべて使われず、残った小さい方の部分が、美しい形に整形され、最後に皿の上に出される。

その瞬間、一流とは、余計なものを何一つ含めない姿勢なのだと気がつく。

まるで、寿司カウンターにいるかのような感覚。

僕は、ナタリー・ポートマンのハーバード大学卒業スピーチ(Commencement Speech 2015) を思い出す。

彼女は、東京の寿司屋を例にしながら、

“It’s not about quantity. It’s about taking pleasure in the perfection and beauty of the particular.”

“量ではなく、特別な一品の完璧さや美しさを楽しむことの大切さ”

と伝えている。(以前紹介した動画 9:57あたりから)

https://www.youtube.com/watch?v=jDaZu_KEMCY

僕も、自分の仕事でも、一品いっぴん、丁寧に仕上げ、最高のものを届けられるようにしたいと思う。

そして、ナタリーの言葉を、胸に刻んで決して忘れない。

“Pleasure in the Perfection And beauty of the Particular.”

長いので、PPAP と覚えよう。

。。。

なかはらさん、いつも最高の時間を、ありがとうございます!

孤独を取り除くこと

昨夜、ある養護学校の先生からメッセージを頂いた。

僕らの瞬間日記アプリが養護学校で使われているらしく、毎日、子供たちが喜んで使ってくださっているとのことだった。


また、目が見えにくい子へ、もっと配慮して欲しいと、愛情あふれる要望も添えられていた。

僕は想像した。きっと、周りの友達が、すいすいとアプリを使っている中で、その子は不自由しているんだろうと。もしかしたら、嫌になったり、仲間はずれになったりしているかもしれない。

孤独と空腹は、人間にとって一番辛いことだ。

どれだけ期待に応えられるかは、分からないけれど、アプリが楽しく使えるようになったときの、その子のキラキラした瞳を想像しながら、作ってみようと思った。

バレンタイン・デーの贈り物

みんな今日も気をつけて。

昨日は、大雪の中「オフィスのみんな」に素敵なものを持参してくださった大学生の女性の方々には、心から感謝。

「僕」への素敵なものなんて要らない。みなさんとランチをご一緒して、愛と恋についてお話ができたことが一番だった。

”恋愛は生活に支障きたしませんか?”

そんな質問をもらったけれど、安心して欲しい。おっしゃる通りだ。

No.1 ホストの男が「相手のことを一日中考えているヤツがモテる」と断言していたから、やってみたけれど、考えているだけでは、2/14に、まったく連絡もなく、強い孤独を感じることが分かった。

万葉集でも孤独が悲しいから「孤悲(こひ)」と書いたくらいだ。人は10世紀も前から、孤独と戦ってきた。

だから、みんなも戦って欲しい。

一日中、相手のことを考えて、孤独を理解して欲しい。

チョコレートをもらえるかどうかの不安を抱えた男性が、大雪の中で映画館の前を通ったときに、「永遠の」というタイトルを見て、どれほど驚くか、理解できるかもしれない。

そして、大雪なのに、へそ出しの白いセーターを着ている綺麗な女性がいて、その手を握っている男性のもう片方の手に、大きな紙袋が握られていて、そんなカップルの隣に立っている自分の両手が空いているときの気持ちが分かるかもしれない。

おへそから目を背けるために、スマホのFacebookを開いた瞬間、今年も楽しそうに「チョコレート授与式」をやっている企業の写真が目に入ったときの複雑な思いが分かるかもしれない。

そういうことが理解できた時、きっと、いい恋ができると思う。
戦って欲しい。僕も応援している。

。。。

魅惑のおへそと、手ぶらに耐え切れなくなった僕は、駅近くのスタバに立ち寄った。

美しい女性店員に「男性に人気のチョコレート」がないかと尋ねたところ、まぶしい笑顔で、彼女は確認してくれた。

“男性の方への贈り物ですか?”

僕は両手の拳を握りしめて「自分用」と伝えた。

国籍

“君はメジャーリーグで一番有名なアメリカ人を知ってるか?”

数年前、シリコンバレーの投資家が集まるパーティで、僕らは白人の投資家に、そう問われた。当時、僕はマリナーズのピアッツァくらいしか知らなかったから、そう答えた

彼は、首を横に振ってこう答えた。

“イチローだよ!”

僕は講演するときに、よく、この話をする。

イチローは日本人ではなく、アメリカ人だ。

米国の強みは、移民を受け入れて、アメリカ人として認識するところだ。

教育水準、技術水準を高め、優秀な移民を受け入れ、それまで自国ではできなかったことを達成し、成果物を自分たちのものにすること。そして、その心までも自分たちのものにしてしまうこと。

よくできたシステムだと思う。

もちろん、移民というのは、いいことばかりじゃない。

僕の祖父は米国で生まれた。1898年、曾祖父(ひいおじいさん)は、開国後の日本を飛び出し、アメリカンドリームを追いかけた。サンフランシスコ、L.A. に渡った後、現地でクリーニング屋を開業し、結婚して祖父が生まれた。

それから、太平洋戦争が始まると、多くの日本人は強制収容所に入れられ、残念なことになった。

“日本人と犬はお断り”

レストランで、こんな扱いのあった時代だ。当時、祖父は10歳の少年だった。収容所に入る直前に、何とか熊本に戻ることができ、父へ僕へと命がつながった。

だから、戦争で、移民が辛い思いをすることを理解している。精神的にも、生命の危機という意味でも。

そんなことを考えながら、僕はシリコンバレーから日本に戻ってから、日本にいながら事業のグローバル化を進めることを考えてきた。海外に行くのではなく、海外の人たちが会いに来てくれるような仕組みを創りたかった。

そして、数年前から、敢えて日本法人で、中国人、韓国人の方々を受け入れを徐々に進めている。アルバイトという立場ではあるものの、現在の業務の一部は、韓国、台湾などからもサポートしてもらっている。社内の公用語は日本語のまま、サービスは各国の言葉で進めて行く。

会社としても教育水準を世界最高レベルに高め、優秀な移民をたくさん受け入れ、彼らとともに世界最高のサービスを創り上げていきたい。

ちなみに、写真は、イチローのいたマリナーズ本拠地、港町シアトルで撮影したもの。