慶応医学部と合コン

“社長、わたし、合コンに行きます!相手は慶応医学部です!”

先日、おもむろに、弊社スタッフの大学生の女性から宣言された。

“お、おぅ”

そう答えたが、気が付くと、社内の他の学生たちがザワザワしていた。どうしたのかと聞くと、

“合コンに行く人が珍しいんです。本当に行く人を初めて見ました!”

と言う。実際、数日前、20代の男性社長に聞いたところ、合コンに初めて行ったのは、大学卒業間近の時だったという。しかも、「街コン」という設定されたものに足を運んだという。

これではいけない。

英国がEUを離脱するほど、変化の激しい時代だ。
受け身ではなにも生まれない。
自ら動き、時代の変化に対応することの大切さを知って欲しい。

僕らが大学生の頃は、都内すべての女子学生寮の電話番号を先輩にもらい、一件ずつ電話して、寮長の女性に会いにいった。エントランスで待つこと1時間。女性がメイクと着替えに長い時間がかかるのを、初めて知った。やっと会えた寮長さんに、

“六本木でパーティを開くので、来てください!”

と伝え、早稲田だけでなく、慶応ボーイも呼んで、僕らがいた男子寮主催で、200人規模のパーティを開いていた。女子の人数が足りない時は、ドトールで声を掛けていたものだ。

これくらいのことをしても、なかなか彼女なんてできない。せっかく、酒を飲みながら、話が盛り上がっていた美女を、かっこいい服を着た他の男に奪われ、収穫もないまま、翌朝まで公園で時間を潰したことも多い。それから、マルイに服を買いに行ったけれど、ポール・スミスを着ても、効果が得られないことに気がついた。

そうやって、色々な試行錯誤をしないと恋人なんてできない。
そんな話をしたところ、男子学生から

“アドバイスをください!”

と言われたので、仕方なく、「勝負は準備が大切だ」と言うことを伝えた。宮本武蔵の「五輪書」にも書かれているとおり、準備が勝負を左右する。

“渋谷のハチ公前で、もう、勝負はついてる。時間通りに女性たちに集合してもらうことが大切なんだ。ドタキャンや遅刻が発生すると、カップル誕生の可能性が下がる。そうならないように、幹事は何度も気を配り、きちんと集合してもらうこと。まずはそこからだ!”

男子たちは、まるで宝物を手に入れたかのような眼差しで、僕の言葉を無言で噛みしめていた。

僕も自分の経験を、若者に役立てられたら、とても嬉しい。
失敗してもいい。何度でもフラれながら、成長して欲しいと思う。

気分が良かったので、この話を、その夜の飲みの場で、社会人の若い女性に、同じように伝えた。1人でも多くの方に、準備の大切さを伝えられたら、僕としては幸いだ。

その女性も、僕のことをじっと見つめ、素晴らしい言葉の1つひとつを噛みしめているかのように、うなずいていた。

それから、少し微笑んで、

“今時、ハチ公前に集合する合コンなんてありません。チャットで連絡取って、店に直接集合します。ちょっと古いと思います”

と、ささやいた。

時代の変化に対応することの大切さを知った。