服装

“服装はきちんとしていきなさい”

メディア取材や、講演会など、人前に立つときは、アドバイスをくれる人が何人かいる。特に女性の前に出るときは、きちんとしなさいと言う。

それで、先日、友人夫婦の結婚披露宴の乾杯の挨拶をご指名頂いたので、礼服を新調することにした。

ある店で、「正装なら蝶ネクタイです。女性にも人気です!」と勧められ、用意したけれど、百貨店フォーマルサロンで、披露宴の行われる昼間の場合、蝶ネクタイはふさわしくないと教えてもらい、慌ててやり直し、前日に揃え直すことができた。

経営判断を一歩間違えば、女性からの人気を逆に下げるところだったかもしれない。さすが日本の高島屋、さすが伊勢丹タンタンだ。

前日未明、友人夫婦の思い出をたどっていると、感謝の言葉ばかりが浮かんできた。スピーチ内容を考えていて涙腺が緩んだのは初めてだ。それほど、友人に支えられてきた

結局、時間を考慮し、感動エピソードは割愛した。とにかく感謝の気持ちだけを伝えたかった。

当日、チャペルでの式は、本当に素晴らしかった。

神父は、新郎の学生時代の英語の先生だった。彼の形式として、新郎新婦に聖書の一節をそれぞれ選んでもらい、列席者の前で、朗読する場が設けられていた。

新婦が選んだのは「コリントの信徒への手紙I 第13章4-7節」だった。

“愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない”

という一節から始まる。「愛は自慢せず」という点を大切に感じ選んだという。

一方、物欲にこだわらないようにと新郎が選んだのは、「マタイによる福音書第6章25節」で、それは次のような一節だった。

“…何を食べようか、何を飲もうかと、自分の命のことで思いわずらい、何を着ようかと自分のからだのことで思いわずらうな。”

朗読中、一週間かけて新調し直した服を見ながら、僕は自分が大切なことを間違っていたことに、気がつき始めていた。

新しい礼服が、人気に影響しないことは夜には明らかになった。

。。。

おふたりへ。

おめでとうございます。僕にとっても、思い出に残る最高の一日となりました。
お二人の幸せが、幾久しく続きますように!